心療内科で診療する病気や症状について
ご説明いたします。
※心療内科は保険診療のみです。

うつ(抑うつ)

うつ病は、悲しみや無力感が長い間続く気分障害です。普段楽しんでいたことに対して興味や喜びが失われ、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
深い悲しみ、やる気の低下、疲れやすさ、集中力の欠如、変化する食欲や睡眠習慣、自己評価の低下などの症状が現れ、深刻な場合には自殺しようと考えたり、自傷行為に至ることもあります。
うつ病は単なる一時的な気分の問題ではなく、ストレス、生物学的要因、環境的影響など、複数の要素が関与して発症する本格的な医学的疾患です。

うつ病の症状(一例)

  • 気分が落ち込む、悲しみが続く
  • 興味や喜びを感じることが減る
  • 疲れやすく、エネルギーがない
  • 睡眠障害(不眠または過眠)
  • 食欲不振または過食
  • 集中力の低下
  • 自己評価の低下、無価値感
  • 無意味な罪悪感
  • 思考や動作の遅れ
  • 自殺念慮や自殺行為

うつ病の治療

うつ病の治療には、十分な休養を取ることが重要です。
質の良い睡眠、リラクゼーションのための時間、日常生活からの一時的な離脱など、適切な休養を取ることでストレスを和らげる必要があります。
また、仕事の負担を軽減する、サポートが受けられる家庭環境を作る、快適で安心できる居住環境を整えるといった環境調整も必要です。
抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などの薬物療法もうつ病の治療には有効で、症状に応じて適切に使用することで症状の改善を図ることができます。
心理療法として、認知行動療法や対人関係療法などにより、ストレスや問題に対処する新しい方法を学ぶ治療方法もあります。

不眠症

不眠症は、単に睡眠の問題に留まらず、日中の疲労感、集中力の低下、記憶障害、気分の変動などを引き起こします。
睡眠によって生活に何らかの支障がある場合は、不眠症としての治療を行いましょう。

不眠症の4つのタイプ

  • 入眠障害
    夜間に十分な速さで眠りにつくことができない状態で、ベッドに入っても長時間眠りにつけず、しばしば不安やストレス、身体的な緊張を感じることがあります。
  • 中途覚醒
    睡眠中に目が覚める状態を指し、再び眠りにつくのが困難な場合があります。夜間の休息を阻害するため、日中の生活に影響を与える可能性があります。
  • 早朝覚醒
    予定よりもかなり早く目が覚めてしまい、その後再び眠ることができない状態で、高齢者やうつ病に多い症状です。睡眠の質を低下させ、日中の疲労や気分の問題につながることがあります。
  • 熟眠障害
    睡眠中に頻繁に目覚めたり浅い睡眠が続くことで、日中の眠気や集中力の低下に繋がる状態です。うつ病や睡眠環境の問題により引き起こされる場合もあります。

不眠症の原因

不眠症の主要な原因はストレスです。仕事、家庭、健康、財務などの生活上のストレスが不眠の引き金となることがあります。
生活習慣も不眠症に大きく影響します。不規則な食事や睡眠スケジュール、カフェインやアルコールの過剰摂取、不適切な睡眠環境などが睡眠の質を低下させることがあります。
また、特定の医薬品、慢性的な痛み、呼吸器疾患、ホルモン変動などが不眠症を引き起こすこともあります。

不眠症の治療

不眠症の治療は、その原因に対して行う必要がありますので、しっかりとした診断が必要です。
生活習慣を起因とする場合は、規則正しい睡眠スケジュールの維持、睡眠前のリラクゼーション技法、カフェインやアルコールの摂取制限、夜間のスクリーンタイムの削減などで改善される場合があります。 寝室を静かで暗く、快適な温度に保つことも重要です。適度な運動は睡眠の質を向上させます。
非薬物的な治療法としては認知行動療法も効果的です。睡眠に関する否定的な思考や行動を特定して健康的なものに変えていきます。
そうした方法でも効果が期待できない場合は、依存性や副作用に十分注意して睡眠薬を使用することもあります。

パニック障害

パニック障害は、突然の激しい不安や恐怖の発作、いわゆる「パニック発作」を特徴とする病気です。
発作は予期せず起こり、心臓の動悸、発汗、震え、息切れ、胸の痛み、めまい、脱力感などの身体的症状を伴い、極度の恐怖やコントロール喪失感、さらには死の恐怖を感じることもあります。パニック障害では、再びパニック発作が起こるかもしれないという恐怖や不安を抱く「予期不安」が見られる場合もあります。
また、「広場恐怖」として公共の場所や逃げ出すことが難しい状況でパニック発作が起こることへの恐怖や不安により、密閉された空間や人混みを避けてしまうこともあります。

パニック障害の主な症状

  • 激しい心臓の動悸や鼓動感
  • 発汗
  • 手足の震えやふるえ
  • 息切れや窒息感
  • 胸の痛みまたは不快感
  • 吐き気や胃の不調
  • めまい、ふらつき感、または失神に近い状態
  • 冷たい汗や熱感
  • 自分が自分でないような感覚
  • 死ぬことへの恐れや制御不能な恐怖感

パニック障害の原因

パニック障害は、脳内の神経伝達物質の不均衡や神経化学物質のバランスの乱れが発症に関連していると考えられています。
心理的要因として、過去のトラウマ体験や長期間のストレス、不安やうつ病などの他の精神障害の存在が、パニック発作の引き金になることがあります。
また、環境的要因として、大きな生活の変化や肉体的疾患、特定の薬物の使用や撤退によりパニック障害の発症に寄与する可能性もあります。

パニック障害の治療

パニック障害は、心理療法と薬物療法の両方を組み合わせることで、発作の頻度と強度を減少させ、日常生活への影響を最小限に抑えることを目指します。
心理療法としては、認知行動療法によりパニック発作に関連する不安を引き起こす思考パターンや行動を特定し、発作が起きた際の対処法を身につけます。
薬物療法では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や抗不安薬などを使用することがあります。

社交不安障害

社交不安障害は、人前でのスピーチなど社交的な状況に対する強い不安と恐れから、赤面、震え、発汗、動悸、めまいなどの体調不良が現れる病気です。
他人からの否定的な評価や、恥をかく、屈辱を感じることへ極度の恐怖を感じるため、人前で話す、集団での活動、新しい人との交流など、日常的な社交的状況を極端に恐れます。
単に恥ずかしがりや内向的であること以上の問題なので、深刻な不安が継続し、日常生活に悪影響を及ぼす場合は適切な治療を受けることが重要です。

社交不安障害の主な症状

  • 人前での強い緊張感
  • 他人に見られることへの過度の恐怖
  • 社交的な場面での避け行動
  • 人前で話すことへの極度の恐怖
  • 震えや発汗などの身体的症状
  • 赤面、吃音、または声の震え
  • 他人からの否定的な評価を過度に恐れる
  • 社交的な状況での自己意識の高さ
  • 社交的な状況後の長期間の不安
  • 自分の行動や外見に対する過剰な自己批判

社交不安障害の種類

  • 対人恐怖症
    他人との直接的な交流や目が合うことに対して強い不安や恐怖を感じる状態で、社交的な場面を避ける傾向があり、対人関係の構築が困難になります。
  • 赤面恐怖症
    人前で顔が赤くなることへの過度の恐怖と自意識の高さが特徴で、赤面することで恥をかくと感じ、社交的な状況を避けるようになります。
  • 発汗恐怖症
    人前での過剰な発汗、特に手のひらや脇の下に不安を感じます。これは、発汗により恥ずかしい思いをするという恐怖から来るものです。
  • 場面恐怖症
    公共の場での話し合いなど、特定の社交的な状況に対して不合理な恐怖や不安を抱えることで、特定の状況を避けるようになります。
  • 書痙
    他人が見ている前で文字を書くことに極度の不安を感じる状態で、手の震えや筆記障害を引き起こすことにより、公的な書類の記入などが困難になることがあります。

社交不安障害の原因

社交不安障害は、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れが不安感を引き起こすと言われています。
心理的要因としては、否定的な自己評価や社会的に屈辱な経験により、他人からの評価を極度に恐れるようになり、社交不安障害を引き起こす要因になることもあります。

社交不安障害の治療

社交不安障害の治療には、抗うつ薬(特にSSRI)や抗不安薬を利用することで、社交状況における不安を抑制し、日常生活での対処能力を高めます。
また、認知行動療法を利用することで不安を引き起こす思考や行動を特定して、対処する方法を身につけます。

自律神経失調症

めまいや疲労感、消化不良、頭痛、発汗異常など自律神経のバランスが乱れることによって引き起こされる場合、自律神経失調症の可能性があります。
自律神経は、心拍、呼吸、消化など、意識的にコントロールできない体の機能を調節しています。そのバランスがストレスや過労、睡眠不足などが原因で崩れると、多様な症状を引き起こします。
精神的な症状も伴うことがあり、不安やイライラを感じやすくなることもあります。

自律神経失調症の主な症状

  • 心の動悸や不整脈
  • 頭痛やめまい
  • 慢性的な疲労感
  • 睡眠障害(不眠や過眠)
  • 発汗異常(多汗または発汗不足)
  • 消化不良、胃腸の不調
  • 手足の冷えやしびれ
  • 動悸や呼吸の苦しさ
  • 頻繁な尿意または便秘
  • 精神的な症状(不安感、イライラ、抑うつ状態)

自律神経失調症の原因

自律神経失調症の原因は多岐にわたり、しばしば複数の要因が組み合わさっています。
自律神経失調症の最も一般的な原因はストレスで、仕事、家庭、人間関係など日常生活の様々な場面での精神的な圧力が自律神経のバランスを乱すことがあります。
また、長時間の過労や睡眠不足、不規則な生活リズム、過度のアルコール摂取や喫煙、カフェインの過剰摂取も影響を与えます。
更年期障害や甲状腺異常といったホルモンバランスの変化も自律神経失調症の引き金となることがあります。

自律神経失調症の治療

自律神経失調症の治療は個々の症状や生活環境に応じて異なりますので、適切な治療計画を立てることが重要です。
生活習慣の見直しとしては、適切な睡眠、バランスの取れた食事、定期的な運動などが推奨されます。症状に応じて、症状の緩和を目的に抗不安薬や抗うつ薬を処方したり、心理療法を併用することもあります。

適応障害

適応障害は、人生の重大な変化やストレスの多い状況に適応できずに、抑うつ気分、不安、集中力の欠如、睡眠の問題、食欲不振などを引き起こす病気です。
症状はストレスのある出来事から数週間ほどで始まり、状況に適応することで改善されることが多いですが、長期にわたって続くこともあります。
また、逃避行動や過度の心配、対人関係での問題が生じ、社会生活に支障をきたす場合もあります。適応障害は、個人が特定のストレス源に対処するのに苦労していることを示しているので、適応能力を高めることが重要です。

適応障害の主な症状・行動

  • 抑うつ気分
  • 不安感
  • 気分の不安定性
  • 睡眠障害(不眠や過眠)
  • 集中困難
  • 興味や喜びの喪失
  • 社交的撤退
  • 仕事や学業のパフォーマンスの低下
  • 頭痛や胃腸の不調などの身体的な症状
  • 自己破壊的行動や過度の飲酒、薬物乱用の傾向

適応障害の主な原因

適応障害は、生活の重大な変化やストレスの多い出来事に対して、個人が適応することが困難な場合に発生します。
これには、家族や職場の問題、重大な健康問題、経済的困難、親しい人との別れ、離婚や結婚、引っ越し、天災などが含まれます。
また、個人のストレスに対する耐性や、周囲にサポートしてくれる人の有無なども、適応障害の発生に影響を与える要因として考えられます。
適応障害は、単一の出来事によるものだけでなく、長期・複数のストレスによって発症することもあります。

適応障害の治療

適応障害の治療で重要なのは、職場や家庭でのストレスの原因を特定し、それに対処するための適応力を高めることです。
ストレスに対する考え方や受け止め方のパターンを理解することで、ストレスからの影響を少なくしていきます。
場合によっては、不安や抑うつの症状を軽減するために短期間の薬物療法が用いられることもあります。

強迫性障害

強迫性障害は、強迫的な思考や不安を引き起こす考えに取りつかれ、その不安を和らげるために繰り返し行動(強迫行為)を行う精神障害で、日常生活や社会活動に大きな支障をきたすことがあります。治療方法としては、認知行動療法が効果的で、必要に応じて抗うつ薬などの薬物療法を併用します。

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